傷跡


『光輝君って何してる人?学生?どこに住んでるの?』




一つ上だったらまだ学生かな。


そう思ってあたしは軽く質問した。




『え?あーっ……引かれる仕事だし言いたくねぇ』


『何それ〜っもしかしてホストとか?』




ほんの軽い気持ちで言った言葉だった。


ただ何気なく出た、そんな一言だったんだ。




『やっぱ引かれるよなぁ。ホストって』





えっ…?


だから予想外のそんな答えに、あたしは驚きを隠しながら話を聞いていた。




『まだ始めたとこなんだけどな。今で二週間目。ちなみに今は歌舞伎町のすぐ近くに住んでる』






歌舞伎町…




『やっぱ引いた?』


『えっ全然!引くわけないじゃん』




あたしは…


自分の気持ちを隠して、笑顔で光輝にそう答えた。




でも、実際は少し引いていたような気がする。



ホストってイメージが悪かったし。


女からお金巻き上げてるみたいな…


そんな悪いイメージしかなかったから。




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