傷跡



拭っても拭っても。


涙がどんどん溢れ出てくる。




もう本当にダメなのかもしれない。



いくら頑張っても。



光輝はもう…

前の光輝には戻らないんだ。





あたしはリビングのソファーに座ると、一人でずっと考えていた。



あんなに優しかった光輝が、なんでこんなに変わってしまったんだろう?



そんな疑心を抱いても、答えなんて見つかるわけもなくて。




あたしは苦しい心を必死で抑えながら、近くのスーパーに買い物に出掛けた。




光輝が変わらないなら…

あたしが我慢すればいい。



何故かあたしはそんな無謀なことを考えながら、久しぶりに食事の用意をしたんだ。





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