傷跡



もう限界だ。



あたしがいくら頑張っても。


我慢しても。



光輝にこの気持ちは伝わらない。




溢れてくる涙を必死で拭いながら、光輝との本当の終わりをあたしの体中が肌で感じとっていた。





『あ、杏奈…ごめ…』




光輝は泣き崩れるあたしの肩にそう言って手を伸ばしてきた。




『嫌…』


『ごめん…俺…実は……』




そう言って肩に触れた腕で、強く抱きしめようとしてきた光輝を、あたしは拒むように叫んだ。




『もう嫌!触んないで!』





発作的にでた言葉だった。



狂ってしまった歯車は…もう元には戻らなかったんだ。




『か、勝手にしろ!』





光輝はそう言って、また怒鳴り声をあげるとバンっとドアを閉めて家から出て行ってしまった。





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