傷跡
でも…
(杏奈…ごめ…実は…)
さっきの壊れそうなくらい切ない声の光輝の言葉が頭に何度も繰り返されていく。
さっき一瞬繋がりかけていたかもしれない光輝との関係を…
あたしは自ら断ち切ってしまったんだ。
自分が楽な道を選んだんだ。
光輝から…逃げたんだ。
頑張るって決めたのに。
あたしが助けなきゃって思ってたのに…
でももう何もできなかった。
あたし自身、心の中の色んなところに穴を開けられて傷付けられたんだよ?
床に散乱する割れたお皿や料理を見ながら、
“これで良かったんだ”
って何度も自分に言い聞かせた。