傷跡
Ⅲ
サヨナラ
ピーンポーン……
部屋に響くインターホンの音。
すぐにお母さんだと思ったあたしは…
急いで玄関の扉を開けたん。
『荷物まとめてあるのか?』
でも、扉の向こうには…
お父さんもいたんだ。
『お父さん!?』
あたしはびっくりして少し声が裏返ってしまった。
『腹減ってないか?飯食いに行くぞ』
お父さんは、驚くあたしにケロッとした顔でそう言うと、まとめていた荷物を軽々とどんどん運び出していった。