傷跡
『ハイ』
『あ………俺………』
『うん…』
『…杏奈いまどこ?』
『実家…帰ってきた』
ぎこちない言葉が続いていく。
『全部荷物運び出したの?』
『うん…お父さん達に手伝ってもらった』
『もう俺達…本当に……』
その言葉には続きがなかった。
しばらく沈黙が続き、
光輝は何も喋らないままで。
『光輝?もうあたし達ダメだったんだよ。無理してずっと一緒にいてもお互いをダメにするって分かったんだ。光輝に言われて気付いたの。ほんとにバカだったなって…必死でご飯作ったりして。でもね、自分のこともっと大事にして。体もさ…今みたいな生活してたら絶対壊しちゃうから』
『…――――』
光輝は、そんなあたしの言葉に、何も答えることなく黙ったままだった。