傷跡
光輝は一体……
何を言ってたんだろう?
でも…声が。
電話の声が…光輝の優しい声だった。
冷めたような声じゃなかった。
昔みたいな…優しい…光輝の声に戻ってた。
最後にあの声を聞くなんて…
皮肉だなぁと思った。
それに、親父が…って言ってたような気がしたけど。
光輝の親?
そういえば付き合ってた間、会ったこともなかったっけ。
話を聞いてみても曖昧な答えしか返ってこなくて。
だからあたしはあえて聞くことをしなかった。
何か聞いちゃいけないような…そんな空気を感じてたから。