傷跡



光輝のかかえていた心の闇は、この時のあたしには何ひとつ見えていなかった。




遥かに深い。

光輝が負った大きな傷跡。



ずっと背負っていたものも何もかも…


あたしは何も知らずにいた。





そしてあたしは…


そんな光輝の震える心に気付かないまま…

離れてしまったんだ。



自分がラクになりたくて…逃げだした。





光輝はきっと、
あたしに気付いて欲しかったのかもしれない。



助けてくれ――――


そう、心の闇から叫んでいたんだと思う。



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