傷跡



『次の日…親父は死んでたんだ。朝起こしに行ったらさ…っ……睡眠薬飲んでたみたいで…眠ってるみたい…っ…死んでて…っ…――』




そう言って光輝は…


あたしの前で初めて涙を見せた。



付き合っていた間も。

ずっと一緒に住んでいた間も。


光輝の涙なんて一度も見たことなかったのに。



そんな光輝が…

初めてあたしの前で泣いたの。




『でさ……っ、すぐそばには遺書みたいな紙があって。今もずっと持ってるんだ』




そう言うと、光輝は財布の中のからボロボロになった小さく折り畳まれた紙を取り出して、

そしてそれをあたしに手渡した。





『見て…いいの?』




そしてあたしがそう聞くと、光輝は黙ってうなずいていた。





そっと紙を開いていく。


それは…

ハガキサイズぐらいのメモ用紙で。



そこには綺麗な達筆な字で、光輝に宛てたお父さんからの想いが綴られていた。




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