最初で最後のキス〜短編
「それに、不良じゃねぇよ。勝手に向こうが絡んでくるだけだ」
相川君はどこか寂しげに言って、言葉を返せない私に続ける。
「学校休んだことねぇし、テストの成績は悪くねぇ」
白い歯を見せつけるように笑う。
「…あいつが隣に居たときは、不良になんか見られなかったのに」
ボソッと呟く相川君。
「『あいつ』?」
「中学ん時の親友。あいつはおまえの言う、真面目像そのままだったぜ」
そう言って立ち上がる。
「あ、話しすぎたか?おれ行くわ」
相川君は後ろ手を振りながら教室を出て行った。