最初で最後のキス〜短編
そんな…そんなはず…ない。
私は彼に近づき、もう一度触れようとする。
「言われてのこのこ帰ってくるのあんたくらいよ?」
少しずつ手を伸ばし、恐る恐る触れてみる。
触れられない……。
私の手は空気を掻くだけ。
「なにしてんの?きもいんだけど」
私の目には涙が浮かぶ。
「屋上に来て…」
彼はそれだけ言うと、私をすり抜けて教室を出て行った。
私は走って彼の後を追いかけた。
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