最初で最後のキス〜短編
「あ…相川君…」
「大丈夫か?こんな所で一人で思いつめて」
やべ、オレが幽霊だってばれるじゃねぇか、バカ慶太!
オレは慌てて物陰に隠れる。
「へっ?一人じゃないよ。隣に、…あれ?」
由姫はオレがいた隣を見つめ、不思議そうな顔をする。
「なんだ?誰かといたのか?」
慶太は由姫に訊ねる。
「うん。黒髪のさらっとしたクールな男の子」
すると慶太はフッと笑い、
「そうか」
と優しい声で言った。
大切なものをもらった時のような、幸せそうな笑み。
でも少し悲しげで、もの憂げに見えた。