最初で最後のキス〜短編





「…き、由姫!!!聞いてんのか!?」


悠斗君の大きな声で私は我にかえる。



「ごめん、聞いてなかった…」


私はへへ、と誤魔化しながら笑う。



「ったく。オレには聞くことしかできねぇけど、隣にいるからさ」


そう言って一呼吸おく。


「笑っていてほしい…」


口元を手で隠しながら言う。



照れてる…かわいいな。


「隣にいてくれるだけでいいんだよ」




私は真剣な眼差しで言った。


「守られる存在ではだめなんだ。私は一人じゃない。だからこそ強くなれる」



そうでしょう?、と言って微笑みかける。







< 65 / 86 >

この作品をシェア

pagetop