最初で最後のキス〜短編
「…き、由姫!!!聞いてんのか!?」
悠斗君の大きな声で私は我にかえる。
「ごめん、聞いてなかった…」
私はへへ、と誤魔化しながら笑う。
「ったく。オレには聞くことしかできねぇけど、隣にいるからさ」
そう言って一呼吸おく。
「笑っていてほしい…」
口元を手で隠しながら言う。
照れてる…かわいいな。
「隣にいてくれるだけでいいんだよ」
私は真剣な眼差しで言った。
「守られる存在ではだめなんだ。私は一人じゃない。だからこそ強くなれる」
そうでしょう?、と言って微笑みかける。