最初で最後のキス〜短編
―――――――…
『おーい慶太!おいてくぞ』
オレはベンチから立ち、グラウンドの土を踏む。
『おまえは本当に元気だよな』
少し遅れて腰をあげる慶太。
『なー、おれ試合前から思ってたんだけどさ』
前にいた友達がテニスコートを指差す。
『あの子めっちゃかわいくね?』
周りにいた部員はみんなそっちを見た。
『本当だ!ちょーかわいい』
『うわーすげー』
口々に言葉を漏らす。
『……別に』
慶太だけは無関心。
『あー、あの子ね。この学校でも抜けて可愛いんだよね』
ここに来て仲良くなった試合相手が言う。
『な、名前は!?』
『熊井由姫』