翼の約束
「まぁまぁ、いい成績なんじゃないか？」

お父さんはそう言いながら、白い小さな紙を返してくれた。「この調子で頑張れよ。」

小さなこの紙切れには、この間の進級テストの結果が書かれている。順位は、中の上辺り。私は、毎日真面目に学校で授業を受け、自宅で予習復習をし、テスト前には学校に居残り友達と先生に質問にいったりしながら勉強してこの成績を維持している。

「この調子で頑張ったら、Ｋ大学行けるんじゃない？」

お母さんが台所から明るい声をかけてくれる。

「うん。先生も大丈夫だろうって。」
模試の判定も悪くないし、気を抜かなければ大丈夫だろうだって。
私は自分の成績に満足していた。うちの学校でこの成績だし、きっと塾に行かなくても国立大学に行ける。未来は明るい。

「塾は行かなくっていいのか？」

お父さんが優しい声をかけてくれる。
私は首を振った。

「ううん。自分で頑張れそうだし、大丈夫だよ。大学進学にお金がかかるんだし、なるたけ迷惑かけたくないから。」

私が答えると、お母さんは夕飯をテーブルに運びながら、

「由希はそんなこと気にしなくっていいのよ。」

と言った。

「お前の将来のためなんだから。お前はそんなこと全然気にしなくっていいんだからな。」

お父さんも、当然のことのようにそう言ってくれた。私は、「ありがとう、行きたくなったら言う。」と両親に応えて、食卓に着いた。


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