【BL】のら猫と室内犬
「ん゛ー!ん゛ー!」
僕はもがき、口から手を離そうとしたが、両手を使ってもびくともしない。
165センチの僕をすっぽりと包んでしまうコイツの身長は推定180センチ。
これだけ違えば、腕力の差も格段だろう。
「何しに来た」
頭の上から声がすると、口から手が離れた。
「ぷはっ…」
息が切れていた時に口を塞がれたものだから、僕の頭は酸欠でクラクラしていた。
「? おい、大丈夫か…」
男は何か言っているが、僕の意識はどんどん遠退いた―。