【BL】僕と瀬戸兄弟の話。
「タイミング…良すぎ」
俺は笑みをこぼし、通話ボタンを押した。
「もしも…」
だか口を開いた瞬間、携帯を取り上げられた。
「こんなところに居た」
「…深晴」
深晴だ。
怪しくニコッと笑い、携帯をぶらつかせる。
「逃げないでよ」
深晴は携帯の電源を切り、俺の隣に腰掛けた。
「早川さんから聞いたよ、全部」
深晴の声は強張ってる。
何とも言えない迫力に、俺は目を逸らし俯いた。
きっと怒鳴られる。手も出されるかもしれない。俺は何もしてない。でも、キスをしたのは事実―。
「………ねぇ、暁」
さっきまでとは違う弱々しい深晴の声。
俺は恐る恐る顔を上げた。
「…僕、どうしたら良いの…?」
深晴は涙を流していた。