帰って来た HERO【完】
携帯の時計を確認したら、あと30分くらいだった。
一緒に俺の手を覗きこんだまゆたんが、申し訳なさそうに言った。
「・・・なんか、ごめんね。えりこりんに苛められてるでしょ?」
「!?」
知ってたの!?まゆたん。
気がついてないものかと思っていました、オッサン。
「えりこりん、ゆきたんが嫌いなわけじゃないの。あれは・・・」
なに!?
そう思ったのは、まゆたんの言葉に対してではない。
寄り添う我々の背後から突然伸びた白い腕が、勢いよくまゆたんの胸を掴んだ。
「キャー!!」
まゆたんは浴衣の合わせを握りしめて悲鳴を上げた。
驚いて振り返ったら、満足気な顔をしたノゾムくんが立っていた。