帰って来た HERO【完】
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オートロックの鍵は持った。
携帯も持った。
愛と言う名のゴムも隠し持った。
後俺に必要なのは、優しさと言う名の大人の余裕だけだ。
入口で部屋の灯りを最小に落とし、我々は廊下に出ることにした。
・・・長かった、ここまで。
先に廊下を覗きこんでいたまゆたんが、ごくりと唾を呑んだ。
「やっぱり暗いね・・・」
「怖かったら手繋ぐ?」
隣の部屋だからすぐなんだけれども。
ジョイトイから俺は、『まゆに嫌われたくなかったらチューどころか手もつなぐんじゃねーぞ!?』と脅されていた。
死ねよ、と思っていたが、あいつのアドバイスをわりと守っておいて良かった。
(※チューはしてもーた)
まゆたんは、俺の事良い人だと思い込んでいる。