帰って来た HERO【完】
「このホテルの子供用浴衣にウサゴンバスタオル羽織ってましたね・・・って、う?!」
どれ?と似顔絵と言われたそのメモ帳を見たパパさんが止まった。
まゆたん、その気の利いた心意気は買うが・・・・、ぜってー無理だよ、それノゾムくんじゃなくてなんか毒持った虫に見える・・・・
「ウサゴンのバスタオル、・・・と。えへ、これなら得意♪特徴あって良かったね」
「あ、うん・・・」
だめだ!俺には似てないとは言えない。
パパさんも口をつぐんでいる。
彼が余計なことを言わないことを、俺は祈るしかなかった。
「従業員の方が ・・・・みんな来てくれるそうです。それで見つからなければ、警察・・・」
事故もあるけど、こんな部屋子供と遊ぶだけのために用意しちゃう奴だ・・・
これは誘拐もあり得るぞ、ゴクリ。
人が来るまでパパさんにかける言葉もなく、気まずい沈黙のまま俺はウロウロと部屋の中を歩いていた。