帰って来た HERO【完】
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寝てた。
俺は振り返っていらないほどの大声で叫んだ。
「いましたぁ!」
これはどうみても死んでない。
底の10cmくらいのお湯に体育座りで浸り、湯船に寄り掛かってノゾムくんは寝息を立てていた。
上気した頬。
もしかしたら逆上せてはいるのかもしれない。
「風邪ひいたらバク転できないぜ・・・」
ノゾムくんの脇に手を入れて抱き起こし、俺は本日4人目を肩に担いだ。
その中でノゾムくんが一番軽いはずなのだが、一番重たく感じた。
パパさんは泣いて喜ぶ間もなく、駆けつけてくれたホテルの従業員さんたちに頭を下げるのが忙しそうだ。