世界を敵にまわしても
「……あのさ、つまり何を言いたいの?」
晴にも先生にも近付くなってことなんだろうけど、ハッキリ言ってほしい。
「冗談キッツ! 分かんないの?」
「さすが、黒沢なんかと友達になるだけあるねぇ~」
いい加減溜め息が出そうだ。遠回しに言われると、答えづらい事この上ない。
どうしたもんかなと思いながら首の後ろを掻くと、ふと目に入った晴に吹き出してしまった。
本当、思わず。
「は? 何?」
菊池さんが振り向くと、今にもこっちに来そうな晴に声を掛ける。
「大丈夫、何でもない」
目に入った晴は、自分の話題だと気付いてたんだろう。頭の上にクエスチョンマークが見えた。
俺? 俺? と考えてたようで、行くべきか行かないべきが、心底悩んでいた顔をしていたから。あたしは思わず笑ってしまった。
あたしが声を掛けたことで、晴は黙って座っていた机に腰を下ろす。
気付けば晴の周りに居た男子もこちらの様子を窺っていたけど、ミキ達のようにハラハラした表情はしていなかった。
ついでに菊池さん達は般若のような顔。
「あー……と、で、何だっけ」
色んな線を踏み越えてしまったなら、もういいや。戻ることなんかしなくても。