世界を敵にまわしても
「はい、おはよー」
本鈴が鳴ってから数分後に来た先生。
もう先生が代理になってから1週間以上経ってるから、最初の時ほどさわがしくはならない。
「何か今日は静かだったね」
それは先生、アレだよ。
いつも騒がしさの中心に居る晴が静かで。
Aランク女子のはらわたが煮え返ってて。それに恐れをなしてる他のクラスメイト、主に女子。
「朝から嫌なことあったんですー」
菊池さんの言葉に、いよいよ女子は自分の身を守る事に必死になる。
「そうなの? まぁ人生楽しいことばっかじゃないよね」
「超ーっ嫌な事! マジむかついたんだってぇ~」
「うん、元気な菊池たちが居ることは分かった。出席取りまーす」
強引だな。
本人は何でか嬉しそうだけど。
……どうなるかな。孤立する事と、菊池さん達に嫌がらせされる事は予想に入ってるけど。
晴が何やら気にしている事が、あたしは気になる。椿もあたしの味方ってわけじゃ……ないだろうし。
「高城ー」
「はい」
……先生、あたしは見事に転落しました。一気に3本のボーダーラインを越えてたみたい。
でも、後悔はしてない。
母と和解するきっかけをくれたのは、あたしが踏み出す勇気をくれたのは、先生だったから。
今度は自分で、あたしは、美月のままで。居場所を見つける。さみしさを感じてた学校生活を、自分で変えてみせるから。
あたしが楽しそうに過ごせたら、先生も一緒に笑ってくれる?
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