世界を敵にまわしても
「マジで連れてきたの?」
「ウケんですけどー!」
「何だよ、お前らも一緒に話せばいいじゃん」
ワラワラと目の前に女の子が集まって、あたしはどうすればいいのか分からなくなる。
マジで連れて来たって何?
1組の人たちがあたしの話でもしてたの?何で?
「ヨッシー、美月ちゃんが困ってるよ」
「え? あぁゴメンって俺のせいかよ! 晴、オメーのせいだろ!」
ヨッシーと呼ばれたのは、前に晴と下駄箱前に居た時に声を掛けたきた人らしい。
ヨッシーから晴に視線を移すと、何でかあたしよりアタフタしていた。
「あー……えっと、これが美月!」
「コレ扱いかよ!」
全くだ。いきなり連れてきて、一体何だと言うんだろう。
「何だよ! お前らが連れて来いって言ったんだろー!? 友達! 美月! はい、仲良くしてね!」
「あははっ! テンパってんよ晴」
「よろしくねー、美月ちゃん」
もう何が何だか分からないまま、あたしを囲む女子達に頷いて、ちょっとだけ話をした。
晴とヨッシーは同じバンドで、あとの2人は部活内だけで組んでるとか。
行った事のないライブの話だったり、10分休憩では到底話し切れないような濃い時間を過ごした。