世界を敵にまわしても


「やー、何かゴメンな。あいつ等うるさいでしょ。でも、悪い奴らじゃないから!」

「うん、大丈夫。ビックリはしたけど」


あちこちから話し掛けられるから、まともな会話が出来なかったけど、別に嫌だったわけじゃない。


「まぁアレだ! これを機会に仲良くなれっといーね!」


教室に入る前に晴は笑顔を見せて、自分の席へと戻っていった。


「……」


あたしの前の席に座る、登校してきた椿を見つけて複雑な思いになる。


……もしかして、噂聞いて気にしてくれた、とか?



そう思った事は、間違いではなかったらしい。


主にヨッシー達や1組の子たちだったけれど、椿が居ても居なくても教室に来たり、廊下で会ったら引き止められたり。


まるで周りに見せ付けるかのように、あたしは人に囲まれる日々が3日続いた。


その間は本当に、菊池さん達が嫌がらせをする暇もないくらいで。


極めつけは、更に1日経った朝の出来事だった。



鬱憤を晴らせないことに痺れを切らしたかのように、待ち伏せをしてたらしい。


怒り狂いそうな表情の菊池さん達に、下駄箱で囲まれた。

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