世界を敵にまわしても


「17世紀以後のバロック時代になると、合唱は器楽伴奏付きの大規模な形に……宮本っ」

「グー……」

「寝たフリすんなよ晴ーっ」


……うちのクラスで最高ランクは間違いなく宮本くん。


その周りに集まるのがAランクだとするなら、あたしやミキ達はBランク。


コミュニケーション能力が少し劣る真面目で大人しい子たちが、差し詰めCランクと言ったとこだろう。


そして黒沢さんは、最低ランク。美貌で言うなら特上だけど、学校なんてこんなもんだ。


如何に楽しく、平和に過ごせるか。生徒は皆無意識の内に自分のステータスを選んでる。


一度自分の位置が決まれば、余程の事がないと動かない。その方が、安全だから。


あたしは本来Cランクなんだろうけど、自分でBを選んだ。Aが派手でCが地味だとするなら、Bは普通。


この学校だけじゃない。きっとどこの学校も、Bの人数が1番多いと思う。


あたしは普通でいたい。


自分は誰かと違うんだとか、特別だとか。誰かを見下すのも羨むのも疲れる。あたしはただ、毎日を何事もなく過ごしたいだけ。


大勢の中の、特に目立つこともない平凡な1人であればそれでいい。


――何も変わらない。変えることなんて出来ない。



……あたしは汚くて、さみしい人間だ。

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