世界を敵にまわしても
何で謝るの?と聞けば、答えは返ってくるだろうか。
曖昧な答えは返ってくるだろうけど、あたしが欲しい答えはきっと返ってこない。
「別にいいから。ミキ達は、自己防衛しただけなんだし。あたしはそれが悪い事だとは思わない」
「……自己防衛って」
サトミが眉を寄せるのは、あたしが先生に図星をつかれた時と同じ心境だからだと思った。
「あたしはそうだったよ。みんなと居る時、独りにならないようにする事しか考えてなかった」
許されたいなら、謝るだけで簡単だけど。それで済む問題なら良いけど、あたしは何だかモヤモヤするからハッキリさせたい。
「だから謝られても困る。……むしろあたしが謝るべきだよね。椿に関わる前に、ミキ達のグループを抜けるべきだった。ごめん」
ミキ達が顔を合わせると、数人の女子がトイレに入ってきた。
あたしは「出よう」と一言声を掛けて、後ろから付いて来る3人を確認しながら廊下に出る。
「……黒沢さんと、ずっと仲良くしたかったって事?」
ミキが落ち付かなそうに毛先をいじって、あたしは椿が降りて行った階段に目をやった。