世界を敵にまわしても


「仲良く出来るかは分かんなかったけど。ただ話してみたいと思って……椿の噂信じてなかったから」

「そっか」


ミキがそう言うと、小さな溜め息が斜め前から聞こえた。


「……あたしさぁ、美月の事ずっと気に食わなかったんだよね」

「ちょ、サトミ!?」

「いいじゃん、何かもう言ってもいいかって気ぃするし。見下すまではいかないけど、一歩引いてるってか、大人ぶってると思ってた」

「……あたしも、美月ってノリ悪いと、ちょっと思ってた」

「ユイまで何言ってんのぉ~!?」


……そんなカミングアウトは要らないのだけど。いや、謝罪よりは欲しかったかも。


「ミキは?」

「えっ!?」


1人ハラハラするミキに聞くと、ミキは俯きがちに口を開く。


「……冷めてるなぁと思ってたけど、でもそんなの最初からだったし……あたし等と居ても楽しくないのかなぁ~とかは思って……」

「ぶふっ!」


ミキが言い終わる前に、遮るように吹き出したのはあたしではない。


階段を上り切って、片手にパックジュースを持った椿だった。


……笑うんだ、ここで。
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