世界を敵にまわしても
「何笑ってんの」
「いや、バレバレじゃんと思って」
ククッと笑う椿は、傍から見れば囲まれてるあたしを心配したわけでなく、ただ素直に面白いと感じたから笑ったんだろう。
実はあたしもちょっと、面白かったけどね。
「何か、自分のダメな部分って隠してたつもりでも、バレてるもんだよね」
キョトンとするミキ達は、分かってないんだろうな。ていうより、椿の存在に気を取られてそう。
……そういえば先生にも、晴にも椿にも思ったな。自分が思ってたよりずっと、周りにはバレてるんだって。
ミキ達があたしに思ってた事が、本当の美月。素の、自分。
大人ぶってるとか、ノリが悪いとか、楽しくないのかなとか。そう思いながら、それでも一緒に居てくれたんだね。
……今なら、自分を偽ってミキ達の傍に居た事に、意味があったかもと思える。
よく分からないけど、今あたしはきっと、笑ってるから。
「今までありがとう」
ミキ達に微笑んで、壁に寄り掛かって様子を見ていた椿の元へ向かう。すると、ミキに名前を呼ばれた。
「今度……っ放課後遊ぼうね!」
「……」
決別というより、何だろう。
この、また始まるような感じは。