世界を敵にまわしても
「……どこ行く気なの」
教室に入って席に座る椿に近付くと、金茶の瞳がキラリと光った気がした。
「久々に行きたいんだよねー、カラオケ」
「やだ」
「ハイダメー。拒否権アリマセン」
カラオケと聞いてゾッとしたあたしなんか見てませんと言うように、椿は勝手に決めてしまう。
「別のとこにしてっ」
「あん? じゃあ……美月の服を見立てる旅」
「あたしで遊ぼうとしないでくれる」
「じゃあ何ならいいわけ」
何って言われても、放課後遊んだこと……あるけど、分かんないな。行きたいとこならあるけど。
「本屋で参考書見たい」
「はぁ!? ガリ勉撲滅っ!」
「その顔で中指立てないで!」
「お前ら何騒いでんのー?」
晴がいつもの笑顔で近寄ってきて、あたしと椿はお互いを指差す。
「美月がつまんねぇ遊び考えんだよ」
「椿が人の嫌がる遊びしか提案しない」
「あははっ! 2人、合うようで合わないのなー!」
本当だ。
言われてみればそうかも。
……一緒にいるようなったあたしと椿は、周りにどんな風に思われてるんだろう。
既に見た目真逆な凸凹コンビと言われているのを知ったのは、結局椿に負けてカラオケに行った放課後のことだった。