世界を敵にまわしても


「嘘だ!!」

「あれ? そうくる?」


嘘だ。

だって、先生があたしを好きだなんて素振りは一度も見せなかった。


「俺結構、好意出しちゃってたと思うけどな」

「出してない……」

「素が知りたいとか、音楽室おいでとか。あと勝気な美人は好きだよとか?」


それ、からかってるんだと思ってた……。


「……ダメだね、俺。去年から好きだったと思うけど、叶わないだろうと思ってたのに。関わった途端我慢出来なくて」

「……は?」


何、去年から好きだったと思うって。


「もしかして、もしかしてと思って、ハッキリ気付いたのは呼び出して雑用頼んだ時」


先生は少し照れくさそうに笑って、あたしはまた涙が浮かんでくる。


「でも、晴と付き合えとか言った……!」

「あれ、ただのヤキモチだから。ガキだね、俺も」

「……しつこかった」

「そうなってもしょうがないって自分に言い聞かせたかったんだよ」


ズルい。


何でそんなこと……ていうかあたし1回、ヤキモチ?って聞いたのに。当たってたのに、もう1回言ってとかふざけてたよね。


何なの?演技派なの?


一発殴りたいとか意味分かんない衝動に駆られるし。もう、本当に訳が分からない。


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