世界を敵にまわしても


「ふっ……くく……何か?って、俺の台詞……」

「あー! もう! ビックリしたの! 驚いたの!」


笑うと思ったよ!


「はー……可愛いなぁ、高城」

「なっ!? に……言って……」

「ははっ! 照れてる」


笑顔で可愛いなんて言われたら、誰だって照れるし言葉が続かない。


好きな人なら、なおさら。


「それで、返事は?」


くるりと体を反転させて、机に体重を預けながらあたしを見下ろす先生。


その笑みから、あたしが答えなくてなくても結果は分かってるんだろうなと思う。


「……別に、明日は暇だけど」

「けど?」

「~っ暇! ものすごく暇!」

「あははっ! じゃあ決定だね」


無邪気に笑う先生に、気が抜けるどころか今なら教科書とか真っ二つに引き裂けそう。


「ぬぁああ!」って叫びながら、恥ずかしさのあまり。


「今日の高城面白いね。ここ来た時からソワソワしてたし」


……1人ドキドキしてるのがバレないように、必死になってたのがバカみたいじゃん。


「じゃあ、今日はもういいよ。ありがとうね」


先生は机の上にあったプリントを持って、あたしに言った。


生徒の提出物であるそのプリントは、まだ誰が出してないのか確認し終えてない。

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