世界を敵にまわしても


「ふはっ!」


……は、い?


「ふっ、……くくっ、ごめん」


口を手の甲で覆って顔を背ける朝霧先生に、あたしの体がワナワナと震え出す。


……何で笑ってるの!?何であたしが笑われてるの!?


信じられない!意味が分からない!


「何笑ってるんですか! だっておかしいじゃないですか。あたし別にイジメられてるわけじゃないのに……っ」


「違う違う、ははっ! そうじゃなくて、どんな子なのかと思えば……嘘下手だし、凄い意地っ張り!」


カッと顔が熱くなる。


また図星をつかれたのと、そういう事を平気で言われたから。


「ごめん、ちょっと予想以上で……本も、アレ自分で借りたやつでしょ?」

「っ何なんですか? あたしのことからかってるなら、止めて下さい」


どれだけ笑ったら涙なんて出るのか。


朝霧先生は目尻を拭って、「違う違う」と否定するけど、何がどう違うのか聞かせてほしい。


「勝気な美人は好きだよ」

「ふざけてんですか!?」


話にならない。というかもう話したくない。何でまた笑い出したのか理解できない。


「お、大声出せるんだ……!」


馬鹿にしてる。からかってる。


人が図星つかれる反応を見て楽しんでるんだ。
< 21 / 551 >

この作品をシェア

pagetop