世界を敵にまわしても
「ふはっ!」
……は、い?
「ふっ、……くくっ、ごめん」
口を手の甲で覆って顔を背ける朝霧先生に、あたしの体がワナワナと震え出す。
……何で笑ってるの!?何であたしが笑われてるの!?
信じられない!意味が分からない!
「何笑ってるんですか! だっておかしいじゃないですか。あたし別にイジメられてるわけじゃないのに……っ」
「違う違う、ははっ! そうじゃなくて、どんな子なのかと思えば……嘘下手だし、凄い意地っ張り!」
カッと顔が熱くなる。
また図星をつかれたのと、そういう事を平気で言われたから。
「ごめん、ちょっと予想以上で……本も、アレ自分で借りたやつでしょ?」
「っ何なんですか? あたしのことからかってるなら、止めて下さい」
どれだけ笑ったら涙なんて出るのか。
朝霧先生は目尻を拭って、「違う違う」と否定するけど、何がどう違うのか聞かせてほしい。
「勝気な美人は好きだよ」
「ふざけてんですか!?」
話にならない。というかもう話したくない。何でまた笑い出したのか理解できない。
「お、大声出せるんだ……!」
馬鹿にしてる。からかってる。
人が図星つかれる反応を見て楽しんでるんだ。