世界を敵にまわしても


晴れない気持ちのまま家に帰り、もう覚えるものがないから勉強にも身が入らない。


教科書の問題を暗唱すれば頭の中ですぐ答えが出る。ちょっと気持ち悪いくらい、今回の試験勉強は完璧だ。


ご飯も食べたしお風呂にも入ったから、あとは寝るだけなんだけれど。


携帯を開くとデジタル時計が夜9時を表示する。


あたしは先生に仕事が終わったら教えてとメールを送っていて、返信を待っている状態。


1人で考えても仕方ないから、少し悩んだけどすぐに聞くという結論に至った。


教科書類は全部閉じ、携帯を持ったままベッドに移動して壁に背中を預ける。


……欠陥が本当にあるとしたら、原因は何だろう。


生まれつきなのか、事故なのか。

まさか今、病気とかじゃないよね?


「……病弱っぽい」


いや、そんな事はないんだけど。身長の割に華奢だし、至るところのパーツが本当に繊細そうだから……。


あぁ、ダメだ。1人無限ループ。


マイナスな思考が連鎖して、不安ばかり募る。


携帯をギュッと握り締めて、もう自分から一度かけてしまおうかと思った時。


タイミング良く先生から電話がきて、あたしは祈るように電話に出た。


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