世界を敵にまわしても
盲目的ジレンマ
「終わった―――!!」
定期考査最終日。
全ての試験を終えると、晴が勢い良く席を立って騒いでいる。あたしはペンを筆箱に片付けながら、その様子を見ていた。
「晴のやつ、もう結果なんて気にしてねぇな」
「椿だって気にしてないでしょ」
振り向いた椿にそう言うと、なぜだか不敵に微笑まれる。
……何だ?
「ま、終わったもんは終わったんだし」
「はぁ」
「てわけで今日、付き合え」
「は!?」
何、そのお誘いじゃなくて決定事項みたいな感じは!
「ストレス発散に何すっかなー」
「いや、ちょっと!」
「は? 却下」
まだ何も言ってないんですけど!
「宮本、席に座れー」
騒ぐ晴を注意した声に、思わずドキリとした。
「何だよ! 奏ちゃんだって試験終わったらホッとするだろー!?」
「お前が座らないと皆が帰れないの。はい、着席」
最終日ラストの試験官は担任で、答案を集めたらそのままホームルームが始まる。
もちろんウチのクラスは担任代理の先生。
「はーあ。奏ちゃん、そんなんじゃモテないよ?」
「じゃ、さくさくホームルーム終わらせよう」
「シカト――!?」
2人のやり取りにクラスメイトが笑い、椿が「アホくさ」と言っている中で、あたしはジッと先生を見つめていた。