世界を敵にまわしても
水色ハアレクイン
「あ、はよ〜!」
次の日の朝、上履きに履き替えたところで声を掛けられた。
クラス内における人間の力関係で、トップを独走する最高ランク。そんな彼が何でBランクのあたしに……。
「お、はよう」
不審に思いながらも挨拶を返すと、宮本くんは無邪気に歯を見せて笑う。
驚くあたしをよそに、宮本くんはさっさと上履きに履き替えて友達と後ろを通り過ぎた。
「友達だっけか?」
「同中で同クラだったもん。あ、おはー」
友達の質問に軽く答える宮本くんは、クラスの違う友達にも挨拶をしている。
――なるほど。滅多に関わらない人でも、宮本くんにとって同中出身は声を掛ける対象なわけね。
というか、中2の時に同じクラスだったけど、本当に数えるくらいしか喋ったことがないのに。
……友達の友達でも声を掛けそうな宮本くんは、この学校でどれくらい友達がいるんだろう。
「……」
さすが最高ランクとしか言えないな。
眩しく感じる宮本くんの後ろ姿を見ながら、あたしは止まっていた足を動かした。
何でか今日は、いつにも増して体がダルい。
脳裏に浮かぶ言葉と嘘くさい笑顔が、その元凶を明確にさせた。
……絶対、朝霧先生のせい……。