世界を敵にまわしても


「お、来た」


ちょうど昼休みが始まったばかりの学校に着くと、下駄箱の傘立てに腰掛ける椿の姿があった。


3日会ってなかっただけで懐かしく思うのは、椿独特の奇抜な格好のせいかも。


「……どうしたの」

「はん? 迎えに来てやったんだろーが!」


いや、貴女そんなキャラじゃないでしょ。


起きたら椿から今日は来るのかってメールが来てたから行くとは返したけど、何時に行くとは言ってないのに。


「まさかずっと待ってたわけ?」

「さっき来たばっかだけど」

「あ、そう」


さすが椿。野生の勘であたしがいつ来るのか分かったのかな。


下駄箱にローファーをしまい上靴を履いていると、突然椿が後ろから抱き付いてくる。


「何!?」

「あー、マジ今日も来なかったらどうしようかと思ったし」


何だその可愛らしい発言は。


「ていうか、重い」

「アイツがウザくてさー本気でどうにかしてくんない?」

「……アイツって、菊池さん?」


離れる気がない椿に仕方なくそのまま歩き出すと、椿は「ウゼー」と不満を漏らすだけだ。


重くはないけど、歩きづらい。


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