世界を敵にまわしても
――――…
「「せんせ――!」」
ミキ達と昼ご飯を食べていると、食堂に響き渡る声に箸を止める。
見ると、案の定朝霧先生と女子生徒だった。
「朝霧ってどこ行っても囲まれるよね」
「ミキも囲みたい!」
「あはは! 何言ってんの!」
……あれは3年生か。笑顔を絶やさない意味が理解出来ない。
「そういえば美月、昨日どうだったの~?」
相変わらず語尾が伸びるミキに視線を戻すと、サトミもユイもあたしを見ていた。
「どうって……資料作って帰ったよ」
途中放棄したけど。
「そうじゃなくて! こんな話したとか、何かしら先生の情報とかゲット出来たでしょ!」
「あー……」
無神経でどこまでも失礼な奴だったので心底嫌いになりましたけど。
「あ、勝気な美人が好きらしいよ」
「っえー! 何ソレそんな話したの!?」
ユイの食いつき方から、苦し紛れに出した答えが間違っていた事に気付く。
「彼女とかいるって!?」
「過去の恋愛とか聞いた!?」
ユイとミキが興奮したように身を乗り出してきて、あたしは逆に体を後方へ引いた。
鬼門だ。あの人、あたしの苦手な話題しか連れてこない…!
「いや、そういう話はしてないから」
「えぇ~じゃあ何で勝気な美人~?」
反抗したからなんて言えないし、人をおちょくることが好きな最悪な人だったとも言えない。