世界を敵にまわしても
「余計だなんて言わないで」
強めに発した言葉に先生はあたしを見て、悲しげな瞳を向けてくる。
「あたしは心配したい。心配して、怒って、先生が泣けないなら代わりに泣いて……たまに優しくする。うっとおしがられても、そうするから」
「……」
先生は黙って、ジッとあたしに視線を向けてくるだけ。
疑ってるような、信じ切れてないようなそんな瞳だったけど、それでも良かった。
今は、それでもいいから。
「先生」
「……ん?」
そう返事をしてくれた先生に笑みを向けようと思ったけど、笑顔をつくることは出来なかった。
緊張して、唇が震えそうで。それでもちゃんと口にしたくて。真面目な顔しか出来なかったから。
「先生ともっと、話がしたい」
ゆっくり、歩み寄るように。手探りでいい。迷いながらでいい。
もっと、前よりもっと、先生の事が知りたいの。
誰よりも1番、先生の近くに居られるように。
「……先生のそばに居たい」
色んな感情を隅に押しやったら、残るのはそんなシンプルな感情だけだった。
だけど何より複雑で、面倒で。それでも1番大事にしたい想い。
あたしの心のど真ん中にある、燃え盛るような熱情。
好きで、好きで、どうしようもないんだよ……先生。