世界を敵にまわしても
―――
―――――…


「なぁーつ休みだぁぁああ!!」

「ウッセ」


終業式が終わり、ホームルームも終わると晴が誰よりも早く席を立って両手を上げた。


それを見た椿がボソリと呟いた言葉に、あたしはこっそり笑う。


「宮本、お前ね。俺の話聞いてた?」

「聞いてたよ? 危ないことしなきゃオッケー! って事でしょ?」


……それはアバウト過ぎるんじゃないの、晴。


先生は呆れたように溜め息をついて、再三夏休みの過ごし方について注意する。


「あんまりハメ外さないように、宿題もちゃんとやること」

「分かってるって!」

「夏休み中の文化祭準備期間、ちゃんと来こなきゃダメだからな。来なかったら欠席扱いだからね」

「分ぁかったってばー! マジで俺もみんなも、ちゃんとするし!」


周りの友達と「なーっ!」と言い合う晴に先生は肩を下げて、諦めたように微笑んだ。


「じゃあ解散。楽しい夏休みを」


ワッと賑やかになる教室は、もうこの瞬間から夏休みが始まったみたい。


というかここ最近、教室では夏休みの話しか飛び交ってなかった気がする。


浮かれてるクラスメイトとは違い、あたしは特別楽しみだとは思えなかった。


昔からそうだけど、今年は別の理由。


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