世界を敵にまわしても
「ねねっ、今クラスの奴らで海行くべーって話してたんだけど、来るよな!」
何の曇りも無い笑顔を見せられて、あたしも椿も一瞬固まってしまった。
「行かねー」
「行かない」
「どぇぇええ!? 何で!? 行こうよ!」
2人が同じ発言をしたことに余計驚いたのか、晴は必死に海の楽しさを伝えようとしてくる。
「ビーチバレーとか、したいじゃん!」
「バレーとか体育の授業で十分だし」
「砂場でバーベキューとか、したいじゃん!」
「クソ暑い中で鉄板とか前にしたくねぇし」
「それがいいんじゃねぇかよ! 分かってないよなー」
椿と晴の会話を聞いてるだけのあたしは、ふいに感じた視線に顔を上げる。
見ると、晴と話していた男子達がこちらの様子を窺うようにソワソワしていた。
「……ねぇ」
「大体何でクラス全員なんだよ暑苦しい」
「バッカお前! 大人数だから楽しいんだって!」
「ねぇ、椿の水着姿が見たいんじゃないの?」
あたしがポツリとそう聞くと、椿の「あん?」っていう声と晴の「え!?」って声が重なる。
「ちょ、何言ってんの美月! 俺そんなこと言ってないって!」
あたしと椿にジッと見られて、晴はアタフタと否定を込めて両手を顔の横で左右に振った。
誤解です!って感じ。