世界を敵にまわしても


「俺はただ全員で行けたら楽しいなーって! あいつ等もお前らと仲良くしたいんだって!」

「何ソレ。気持ちワル」


椿に声を掛ける男子生徒なんて、この学校じゃ晴くらいだからな。


椿の美貌は女子にやっかまれることはあっても、男子にしたら近付きたい存在、とか?


「とにかく来いって! どうせ暇だろー!?」

「どうせって何だよムカつく」

「美月も来るよな!?」

「宿題が終わってたらね」


そう言うと、晴なら分かるけど行くことを拒否してた椿までうわぁ…って顔をする。


「何よ。宿題はやるもんでしょ」

「ダメだコレ。夏休みまで勉強するとか正気か」

「美月~、俺は遊びの話をしてんだよー」

「ていうか、そもそも水着なんて持ってないから、行ったとしても泳がないよ」


スクール水着ならあるけど。女子高生が海に着ていくものじゃないことくらい分かってるよ、さすがのあたしでも。


すると椿が悪戯でも思い付いたようにニヤッと笑った。


「よし、買いに行くべ」

「はい!?」

「持ってないとか言われっと逆に着せたくなる」


出た……。そうやってすぐ人で遊びたがるんだ椿は。

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