世界を敵にまわしても


「もー、どうせ椿何もしてないんだろ?」

「こんなダサい看板作りたくないらしいよ」

「そう、ヤダこんなの恥ずかしいマジ無理」

「俺だって恥ずかしいわ!」


前髪をヘアピンで止めた晴はそう言って、盛大な溜め息をついた。どうやら椿のことは諦めたみたい。


「まぁいいや。みんなーっ! 休憩入って!」


晴は外で作業していたクラスメイトに声を掛けて、再びあたし達に視線を落とした。


「2人もっ。午後からはちゃんとやれよなー!」

「椿がね」

「はん? なすり付けんな」

「椿、あたしの隣で寝てただけだじゃんか!」


驚きながらも立ち上がってジャージの砂を掃うと、晴に名前を呼ばれる。


「昼食った後でいいから、次の予定決めよっ」

「分かった」


頷くと晴は「食い終わったらメールして」と言って窓から離れていった。


文化祭準備期間は1週間設けられるんだけど、作業が出来る広々とした場所が限られてるから全学年入れ替わりになる。


だから実際は1クラス3回程度の準備期間が与えられるということ。


「3回か……」

「準備が? アイツに会えるのが?」

「……後者」


腰をあげた椿と売店に向かいながら、早く今日の作業が終わらないかと思った。
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