世界を敵にまわしても
グシャッと紙切れを握り潰す。晴と椿も背後から見ていただろうけど、今はそれどころじゃなかった。
想いが溢れて、止まらなくて、気持ちが急かされる。
このまま終わるなんて、出来ない。
あたしはすぐに携帯の着信履歴から、先生に電話を掛けた。
「せっ……!」
コールも掛からず、留守電にも繋がらず、聞こえた声はお受けすることが出来ませんという機械の声だった。
「……っ」
すぐに電話を切って、メールを作成する。内容なんてどうでも良かった。ただ「先生」と打って、送信する。
だけどすぐに返ってきたメールは先生からではなく、センターからの宛先を確認してくださいというものだった。
「わ、バカッ! みつ……っ!」
晴の制止は意味をなさず、あたしは腕を振り上げて下駄箱に携帯を投げ付ける。
ガンッ!と硬質な音が花火と生徒の歓声に交じり、椿に支えられるのを感じながら泣き崩れた。
「……何で……っ……先生───……!」
こんなのはヒドすぎると思った。
電話もメールも拒否されて、恨んでくれとばかりな先生のやり方に、本気で恨んでやろうかと思う。
だけど、それでも、好きだった。
いつも曖昧な先生が、中途半端に手書きで紙切れなんて置いてく先生が。
嫌いで、嫌いで。
大好きだった。
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