世界を敵にまわしても
「好っ、きだ!!」
「……」
「って、うわぁ……俺、ダサ……」
両手で顔をおおう晴に、あたしはパチクリと瞬きを繰り返す。
……好っ、きだ?
……好きだ?
「……え?」
思わず口から出た声に、晴は両手で隠していた顔の半分を覗かせる。まるで女の子がするような仕草。
晴は口元を両手で覆って、真っ赤な顔をしてあたしを見た。
「だから……俺、美月のこと……好きなんだよね」
ごにょごにょとした声で、真っ赤な顔で言う晴に、あたしは徐々に頬が熱くなる。
「あぁぁぁああー……もっとちゃんと、カッコ良く告るつもりだったのに……最悪だ」
告るという単語にあたしは一気に顔を赤くして、周りに誰もいないのにキョロキョロと辺りを見渡した。
「「………」」
再び視線を交えさせたあたしと晴は、お互い真っ赤だ。
「あぁもう、……美月っ!!」
顔を覆うのをやめた晴に大きい声で呼ばれて、あたしはビクッと肩を揺らす。
「俺、マジだから! そういう……泣かせたりとか、しんどい思いとか、見てられないし、させたくないし……だから、とにかく好きだから!」
め、めちゃくちゃだ……。
だけど必死に伝えようとしてるのが分かって、でもこんなの突然過ぎると思って、何て返事すればいいか分からなくて。
混乱したあたしは、キャラメル色のカーディガンと晴の髪色が似てるな、なんてどうでもいいことしか思い浮かばなかった。