世界を敵にまわしても
「え……でもアレ、先生が菊池さんとか噂からあたしを守るようにって晴に頼んでて……それで連れ出してくれただけだよ」
「それもあるだろーけど、覚えてねーの? 会話とか」
会話……?
正直1組の女子も交じってきた時は返事するのに精一杯で……。
「あ……何か、あたしの話になった?とか言ってた、かも」
「それだよ。その日、晴が美月のこと好きだって話して、ヨッシー達が連れてこなきゃ自分等で探しに行くだの、好きなの言っちゃうだのって騒いだだけ」
そう椿が付け足して、あたしは5ヵ月前のことを必死に思い出す。
『あははっ! マジで連れてきてるしっ!』
『お前らが連れてこないと……っダメッて言ったんだろー!?』
『連れてこーいって、俺らが無理に頼んだの! ワリィね!』
そんな会話を、晴やヨッシーがしてた気がする……けど。
「気付かないよ普通……」
「それじゃなくても気付くだろ。晴、美月にかまいすぎ」
そうなの?晴以外に仲良い男子なんていないし、強いていうならヨッシーも?
でも晴にはいっぱい女友達だっているし、全く気付かなかった。
「はぁぁあ……同年代の人から告白とか、初めてされた……」
まだ顔が熱い。頬を両手で包むと、椿は持っていた紙パックから紅茶を吸い上げる。