世界を敵にまわしても
「おーいたいた。晴っ」
2時間目の休み時間、椿と晴と3人で話しているとヨッシーが教室に入ってきた。
「何だよ、どした?」
「ライディングの教科書貸して。あとワーク」
「は? ワークもかよ!」
「今日当てられんだよなー」
晴は腰掛けていた机から降りて、教科書を取りに行く。
「つーかヨッシー、晴がワークやってるわけねぇじゃん」
「あ? え? 1組より授業進んでるって聞いたんだけど」
「知らねーけど。晴がワークやるわけなくね?」
椿とヨッシーがそんな会話をしてから、2人同時にあたしを見る。
「良かったなヨッシー。やってるどころか答えにミスもないワーク持ってる奴がいるぞ」
「おお、こんなところに学年1位が!ってわけで美月ワーク貸して」
……まぁいいけどさ。
あたしは机の中からライディングのワークを取り出して、ヨッシーに差し出すと、晴の「あ!?」という声。
「何で美月に借りてんだよ! 俺せっかく持ってきたのに!」
「すっげ美月! 何これ、全部終わってんじゃん!?」
「聞け!!」
バシッと教科書でヨッシーの背中を叩く晴は、不機嫌な顔をしていた。