世界を敵にまわしても


――10月中旬に差し掛かり、すっかり肌寒くなった頃。


体育の授業を終えた4時間目、外廊下から校舎に入るとやけに騒がしかった。


後ろから歩いてきたクラスメイトも、「何なに?」と口々に言っている。


「昇降口の方じゃん? ウッセーの」


パタパタと胸元のジャージを扇ぐ椿は耳がいい。


生徒達が向かっていく方へ吸い寄せられるように近付くと、椿の言った通り下駄箱付近に生徒が溢れていた。


「えー、何なにぃ? なんかあんのぉ?」


後ろから菊池さんも覗いてきて、椿は「さぁ」と興味なさそうに返事をする。


「あはっ! もしかしてぇ、また美月の別な噂とか? 漫画みたいに~変な写真張られてるとか!」


笑えないんですけど!


「菊池、消えろあっち行け」

「何で!? あっ! あたしも行くって!」


椿と一緒に生徒が集まる場所に向かうと、どうやら下駄箱にいる生徒は野次馬だったみたいで、その目的は昇降口のロータリーにいる人物だった。



「あれ!? 朝霧センセーじゃぁん!」


菊池さんがそう言うと、見に来ていたクラスメイトがワッと騒ぐ。



――先生……何で、学校に……?
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