世界を敵にまわしても
「美月、俺のことはもう、ほんと気にしなくていいからさ」
……そんな風に言われても、「うん!」って明るくは答えられないんだけど……。
「すっげー仲いい友達でいような!」
晴のことだから、そう言ってくれる気がしてた。
本当に嬉しいけど、申し訳なく思わないわけじゃない。
だけど友達でいようと言ってくれる気持ちが、晴の誠意なら。
あたしは尻込みしないで、それに精一杯応えたいと思う。
「……当たり前だよ。晴は、あたしのいちばんの男友達だもん」
傷付けるかもしれない。そういう思いはあったけど、これがあたしの本音で、誠意だ。
微笑んだあたしに、晴はニカッと眩しいほどに笑ってくれる。
「んじゃ、最後に1 個、俺のお願い聞いてくれる?」
……お願い?
「……あたしにできることなら」
晴は柵に寄り掛からせていた体を起して、あたしの目の前まで一気に詰め寄ってきた。
「何?」と首を傾げると、晴はくしゃっとした笑顔を見せる。
「思い出作りに、俺とデートして!」
「……え?」
デ、デート?
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