世界を敵にまわしても

金色コランバイン

――
――――…


「美月っ! こっちこっち!」


晴にデートのお願いをされた日から数日、あたしは指定された待ち合わせ場所で晴の姿を見つけた。


「早いなー。まだ待ち合わせ15分前だけど」

「あたし、15分前に来るようにしてるから。晴こそ早いじゃん」

「いや、何か美月って早く来そうだと思ってさー。予想通り」


街中にある噴水の前、あたしと晴は私服で向き合う。お互い何度か私服で会ったことはあるけど、2人きりは初めてだ。


「んじゃ、行きますかっ!」

「どこ行くの?」

「何好きっ? 映画? ゲーセン? 雑貨、服屋、カラオケ、ゲーセン」


今、ゲーセンって2回言わなかった?


指折り数える晴の隣を歩きながら、あたしは周りを見渡す。日曜日だからか、やっぱり人が多い。


「あ、昼飯食ってきた? ちょうど1時になるけど」

「ちょっと食べてきた」

「マジで? 俺ガッツリ食べてきた」


笑いながら言う晴につられながら、あたしは目に入ったゲームセンターを指差した。


多分、晴は行きたいんだろうなと思って。


「晴、ゲーセンあるよ」

「あ、行く? あ! ホッケーするべ!」


……ホッケー? そんなゲームあるんだ。


「負けた方がジュースおごるゲーム!」

「え!? ちょ、晴っ!」


ゲームセンターに入って行く晴を追い掛けて、あたしと晴は色んなゲームで勝負をした。
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